ゴッホの自画像と現代の自撮りを比較したら両方とも割と痛いことがわかった
ここ最近写真に悩まされています。
仕事で人の撮った写真にあーだこーだ口出ししているのですが、いざ自分が撮られるとなると「表情が固い」の一言でばっさりです。
自撮り用の加工アプリとか自撮りアップロード専用のSNSも出ていますが、私の場合は自撮りをしても、あとからなんか恥ずかしくなってきて加工しまくってしまい、元の画像とはかけ離れたものになってしまいます。
そのため自撮りで可愛く写っている女の子たちを見ると、感心を通りこして感動の域に入ります。
そこで様々なトラウマを払拭すべく、100年前の自撮りならぬ自画像に心血注いだゴッホ大先生をご紹介したいと思います。
≪自画像≫1889年
ヴィンセント・ファン・ゴッホ。
オランダ出身の画家ですが、生前売れた絵画は1枚だけで晩年、没後に作品が評価されたという逸話のある「狂気の天才」。
彼は精神を病んでいたため37歳に自殺しますが、亡くなるラスト3年間に40数点の自画像を描きます。
もう一人自画像を描き狂った画家で、レンブラントもいますが、彼は生涯を通じて60数点なので描いた密度でいったらゴッホ先生の足元にも及びません。
自撮りですと、加工も含めてかける時間は長くても10分程度でしょうか?
ただ自画像の場合、自分と鏡で何時間も下手したら何日も向き合って描くので、そこにかける想いは尋常じゃありません。
ただ自画像を描く人が全員ナルシストというわけではないんです。
自画像ですが、その中でも描かれているものによっていくつかジャンルがあります。
・画家が一人で描かれているもの
・画家が偉人とかにコスプレしているもの
・画家が歴史的ワンシーンの中に紛れているもの
などなど。
宮崎駿先生と同じくらいの自己顕示欲の高さですね。
右上メガネに注目。誰かに似ています。
画家が一人で描かれたものでも、
・単純に人物を描く技術を高めるために、モデルを自分で選んだだけのもの
・自身の精神状態をも表現して描きこんだもの
の二つがあります。じゃあゴッホの自画像はどちらのタイプなんだろうと考えたのですが、
結論を言ってしまうと、ゴッホが自画像を描いた理由は半々なんじゃないでしょうか。
ゴッホ自身の自画像を追うと、彼の作風の変化が追えます。
これで半分くらいです。
彼自身、自画像がある意味絵の練習になっていたのではないでしょうか?
そのため、彼のありのままの姿を描くというよりは、どちらかというと色々な画家と出会って受けた影響を自分の描き方に定着させようと自画像を描いていたのです。
上の画像の上の段はまだオランダ絵画らしい色よりも光のコントラストが重視された描き方ですが、下の段はパリの画家、特に印象派の影響を受けて、色使いが明るく原色を交えるように変化してくるのがわかります。
彼は周囲の影響だけではなく、心理状態によっても描き方を変化させます。
わかりやすいのは、1888年にゴーギャンに贈った1枚。
ゴッホ自身がこの作品を描いたとき、自分をありのままに描くというよりは、自分が一人の印象画派画家であることを主張したいために、自身を加工して描きました。
これまで描き方を進化させながらきたゴッホは、印象派に入ることを決めます。
その決意を、敬虔な仏教のお坊さんに例え、自分自身をそのように、日本人風に釣り上げた目、痩せこけた、けど引き締まった顔つき、明るい緑の背景とは対照的な質素な茶色い服などで描きあげたのです。
ただ、こういった自画像って誰が依頼するの?と。
大体画家が作品を作成する際は、パトロンなどからこういう絵画がほしいと依頼があってからになります。
ただ病んでいるおっさんの絵なんて欲しくないはず。
現代ならばゴッホの代表作として億単位の評価がつけられていますが、生前は画家として評価されていないのでパトロンがいたかどうかもわかりません。
ゴッホは乱暴な言い方をすると自画像を描いては、親しい友人や弟、お世話になった病院に贈っていたのです。
あれ、これ迷惑じゃない?
突然友人の本気画像送られたら、戸惑うというかどうしたらいいのか分からなくないですか? 対処に困るというか。
これ正直もらってうれしい場合ってあるの?
ってことでやってみました。
自撮り写真を突然友人に送ったらどんな反応するか検証してみました。
ついでに私の自撮りへのトラウマも克服したいと思います。
ちなみに送ったのはこちらの画像。
お気づきかと思われますが、正式な自撮りじゃありません。
仕事に必要で撮影したもので、これしかなかったんです。焦点が合っていません。
<検証1:中学からの大親友 女>
冷ややかながら、なんだかんだ優しかったです。
<検証2:大学の後輩 女>
なんか勘違いされた。
え、なに、結構好感触なの?
<検証3:様々な名言をネット上に残している、生きる伝説 男>
なんか更に勘違いされた。
あれーーーー 案外みんな優しいなぁ。
<検証4:変態お兄さん>
更なる要求をされた。なんか変な展開になってきました。
しかし、ここまで意に反する(失礼)反応だったので(もっと迷惑がられてディスられるのかと思った)、更なる刺激を求めて、いつもマゾヒスト精神を心地よくくすぐってくれる友人に送ってみました。
<検証5:呑みに誘ってくれたのに「いく」と言ったら「くるな」と断る友人 男>
リアルな感じで怖がられてた。
この人に送ってよかった。
ということで、3対2でぎりぎり好感触でした。
ゴッホも心血そそいで描いた自画像は、贈られた皆さんに喜ばれたんだということがわかりました。よかった。
皆様ゴールデンウィークでお忙しい中、対応して頂きありがとうございました!
ただ皆さん戸惑いは隠せなかった様子。
もしかしたら自撮りが突然送られてきたら吊り橋効果的なドキドキもあるんじゃないかなと思うので、女子の皆さんはぜひ意中の彼に自撮り写真を送ってみてください。
60%くらいの確率で好感触です。
相手をパニックに陥れさせればこっちのもんです。
ゴッホとは全く関係なくなってしまいましたが 笑
自画像のジャンルも面白いので興味を持って頂けたら幸いです。
ちなみに実の兄にも送ってみました。
水着のサービスショットで。
家族で遊ぶのはやめましょう。激しく後悔しました。
ゴッホもたぶん弟に自画像を送ったあとに後悔したんじゃないかなと思います。
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