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アラサーOLがアートでアレコレやってみるブログ

ブログ名変更しました(再)。アート初心者大歓迎! アートの面白さをナナメ上の視点から追求していくブログになります。

ブラック企業のトップがその財で築いた、一流の芸術コレクション:フリック・コレクションのご紹介

こんにちは、ゆきびっちです。

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初めてニューヨークでアイススケートに挑戦しましたが、まぁ自分の想像を上回る運動能力のなさで手すりを掴む腕のみで周回しました。人間は地を踏みしめて歩いたほうがいいと思うんだよね。

 

前回は19世紀のパリの画商のコレクションをご紹介しましたが、今回は海を渡ったニューヨークにあるガチお金持ちさんによるフリック・コレクションをご紹介します。

 

 

<アメリカの悪質ビジネスマンが築き上げたフリック・コレクション>

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ニューヨークの高級ブティックが立ち並ぶアッパーイーストサイドにあるフリック・コレクション。

こちらは鉄鋼王ヘンリー・クレイ・フリック氏の邸宅を改築した美術館で、中にはこの御方が収集した美術品・工芸品などが展示されています。
いわゆるプライベート・コレクション。

美術品はもちろんのことですが、邸宅の建築や中の家具なども見ごたえは十分です。

 

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邸宅の中にある中庭。リアルOASIS

フリック氏のことを「悪質ビジネスマン」と書きましたが。

彼はピッツバーグの鉄鋼業で財をなした実業家ですが、19世紀アメリカでストライキが多発したとき、そのストの首謀者の労働者を吊るしあげて首にし、代わりの労働者を他国から入れるという、組織労働や労働組合に関して一貫してNOという人でした。

今でいうブラック企業ですね。

あくまでも労働者は代替可能の資材であるという主張を曲げませんでした。

低賃金労働の徹底と、非組合化企業。

そんなこんなで暗殺未遂もあったようですよ。

アメリカ経済史では有名な方なので、興味ある方はぜひ調べてみてくださいね。

 

そんなハードな人生を送ってきた頑固親父ですが、その美術品の審美眼は一級

プライベート・コレクションにも関わらず、ルノアールフェルメール、ウィリアム・ターナーなどそれこそ先日取り上げた世界規模に有名な美術館とは引けをとらないコレクションをもっています。

 

<観光客に優しい美術館 
オーディオガイドにアプリと設備が整っている>

作品を取り上げる前に施設とアプリのご案内。

実はここでは私設美術館にも関わらず、無料の日本語のオーディオガイドも備わっています。

解説の内容も丁寧なので、ゆっくり時間をかけて鑑賞されることをおススメします。

 

他にスマホのアプリもあり、日本にいても作品の鑑賞などが可能です。

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The Frick Collection App | The Frick Collection

こちらのアプリは全部英語ですが、日本語のオーディオガイドと内容が一致していたので、美術館にわざわざ行かなくても同じくらい楽しめます。

館内地図もあります。

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ちなみにアプリもダウンロードは無料。めちゃくちゃ容量くいますがね。

 

ただ残念なのは、館内は撮影禁止

まぁ自分の撮影したものよりも画質の良い作品をアプリでチェックできるので、そこは仕方ないかもなというのが正直なところ。

 

 

<これは見たほうがいい作品集>

子供たちによる癒し部屋 ブーシェコレクション

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一部屋はブーシェの「子供が大人の仕事をマネしている」シリーズの絵画が壁面に飾られています。天体観測、数学など。こういったテーマがどうやら中世流行していた様子。

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左側:建築と化学 右側:絵画と彫刻

 

天使のように愛らしい子供たちが、ちょっと背伸びして大人のマネをしている姿は心の底から癒されます。

しかし部屋一面四方全てに作品が描かれているのはゴシックすぎて、ちとやりすぎではないのかと笑
作品としては最高です。こんな子供たちに囲まれたい。

 

②画家が依頼主を無視して持ち続けた絵画

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テオドール・ルソー<ベッキニー村>1857年

この絵画は依頼主からの要望を受けて描いたにも関わらず、画家自身が余りにも気に入ってしまったために、画家が死ぬまで依頼主に渡さなかった作品

お金払っているのに、そんなことってある?と思いましたが。
この作品の作成段階ではなんども描き直しをしており、空の色も元々はサファイアブルーといった鮮やかな色だったらしい(この色についても依頼主は「やりすぎ、やり直し」の一言で一蹴したわけですが)。

そんな作り手ならではのこだわりには共感できるし、突き詰めた精神力はすごく好きです。

まぁクライアント側としては迷惑以外の何ものでもないですが

 

③ 美を追究したためにありえない身体になった肖像画

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ドミニク・アングル<ドーソンヴィル伯爵夫人>1845年

こちらの作品、フリック・コレクションのアプリのアイコン画像にもなっている作品ですが、実はちょっとした仕掛けがあります。

当時鑑賞したときは全く気付かなかったのですが、改めて調べてみると、モデルの彼女の身体がおかしなことになっていることがわかりました。

まず一番分かり易いのは、女性の右手。なんだか長くありませんか?

このポーズは古代ローマ彫刻<瞑想>からとられていて、モデルのドーソンヴィル伯爵夫人の知性と教養の高さを示しているのですが、このポーズを取るために右手を長くせざるを得なかったのです。

なら、正面から描けばいいじゃないかという話ですが。そうもいかない。
横向きになることでドレスのウェストの絞りと女性らしい背中のしなやかな曲線を描きだすことができ、それが彼女の端正な顔立ちに更に女性らしく美しく仕上げてくれるのです。

他にも鏡に写る女性の左肩からの背中にかけての丸みも人体構造上おかしいといわれていますが、そういえばマツコ・デラックスの後ろ姿ってこんなんじゃない?と思ってしまった。

普通の肖像画に見えて実は、美を追究したことでおかしな身体で描かれてしまったお話。

 

④ 門外不出のフェルメール

日本人にも人気のフェルメールですが、私設コレクションにも関わらずここでは3作も見られます。すごいな、本当に。

その中でも特に見逃してはならない門外不出といわれる作品をご紹介しますね。

フェルメールの作品にあまり大きいものがありませんので、ひょっと不意に出てきてびっくりしますのでご注意ください。

 

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ヨハネス・フェルメール<夫人と召使>1667年

シーンとしては召使が持ってきた手紙に、女主人が困惑しているところ。

色々憶測が飛んでいますが、個人的には、夫人のところに恋人から手紙が届いて、その様子や差出人の名前から召使が夫人の想いに気付いてにやついているシーンと捉えています。

階級の差を示したり、わざと注目させる部分に光を当てたりするような光と影の対比がフェルメールらしいですよね。

門外不出ということで、ここでしか見られない作品なので是非お見逃しなく!

 

さて、大分開いての更新となってしまって申し訳ないのですが・・・

一回、ただいま上映中の「黄金のアデーレ」、竹久夢二美術館についての記事を書いて、次パリのドラクロア美術館、ピカソ美術館をご紹介したいと思います。

 

それでは♪