アラサーOLがアートでアレコレやってみるブログ

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現代芸術について考えさせられる三大美術館 ポンピドゥーセンターのお話

こんにちは、ゆきびっちです。

 

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パリ三大美術館 ラスト1つ、先日の出張でお邪魔したパリ近代美術館ポンピドゥーセンターについて今回はお話します。

 

が、当日かなり疲れ切った状態で乗り込んでしまったため。

足も腰も、ついでに言うならば肩も限界。

面白い作品とか新しい発見もあったのですが、どーにもこーにも頭がついていかなかったので、最後のほうがかなり中途半端に観覧できなかったので悔しい。。。

そんな苦い思い出のある美術館になりました。。。

 

<パリ芸術再生に希望をかけた施設 ポンピドゥーセンター>

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他の二つの美術館に比べて、19世紀以降から現代の作品まで所蔵しているのが、ポンピドゥーセンター。

どうやら建設当初、フランス政府はかなり悩んだ様子。

というのも第二次世界大戦以降、芸術の中心がニューヨークに移ってしまったため、なんとかパリの芸術文化を復活させた意志のもと建てられた様子。

これまでの絵画や彫像のような古きよき芸術作品だけではなく、映像やインスタントレーションといった、「ちょっと何を表現したいのかわかりません」と頭を抱えてしまいがちな現代芸術にも人々が興味をもってもらうことが建設の第一の目的だったようです。

 

その結果、オルセーやルーブルが歴史的なパリらしい建築にも関わらず、ポンピドゥーセンターは鉄骨むきだしの建物になっちゃいました。

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地元パリの人も、鉄骨=まだ建設中というイメージがあるため、開館当初、開いているということも分からなかった人もいたくらい。

かなり異質な雰囲気ですが、これにも理由が。

 

パリの条約上、(おそらく景観法の一種か)20世紀に入って、鉄骨を中心とする現代的な建物がパリ市内に余り建てられなくなってしまいました

そのために、なんとかパリでもこんな建物あるぜ!といわんばかりにこんな外観に仕上げたわけです。これが条約に引っかかっているのか引っかかっていないかは不明

ただ、パリの中でも背の高い建物なので、頂上までいくとパリの街並みを一望できます。

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鑑賞スペースは上階なので、エレベーターで昇ります。

 

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最上階はこんな!

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エッフェル塔もこーんな感じ。

こうやって見ると京都の街並みと同じように建物の高さに制限があるように思えます。

 

ちなみに中には公共の図書館も存在し、芸術学校も備えており、まさに生きる芸術を育む場所としてポンピドゥーセンターは生まれました。

 

 

<これは見て!って思える作品たち>

ここはアンリ・マティスの作品がおなかいっぱい見られます。

他、ジャクソン・ポロックピカソモンドリアンなど近代芸術の巨匠たちの刺激的な作品が容赦なくがつがつ攻めてきますので心の防災頭巾をつけてから訪れてください。

 

①レディメイドの作品 マルセル・デュシャン≪泉≫

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はい、こちら男性の小用の便器です。

ちなみにこちら、20世紀にアートの概念を覆してくださった「レディメイド」の一番有名な作品。

レディメイドとは、既にあるものにちょこっと手を加えて、その既製品の目的とは全く異なった価値や目的をもったアート作品のこと。

こんなんでもアート作品になるんだったら、自分の落書きでさえもアートといわれるんじゃないか?なんて思ってしまう作品。

 

そうなんです、こちら「芸術品は一から手仕事でつくるもの」なんて制作過程における絶対条件、そして「芸術=美しい」という思考的な概念ぶったぎってくれた作品になります。

語るべき内容は多いのですが、一応この便器は使用前のものということはお伝え致します。

あと横に書いてあるサインは、デュシャン適当に書いた架空の人物のサインです。

初めて生で見ましたが、なかなか普通の便器でしたよ。

 

 

 ②油彩で描くグラフィックアート クプカのアブストラクト芸術

正直に言います。初めてクプカの作品とアブストラクト芸術っていうやつに今回触れました。

アンリ・マティスとかピカソとかでもーお腹いっぱい、頭いっぱいの中に強烈な電気信号を送ってくれたのが、こちらフランティシェク・クプカというチェコ人作家さんの作品。

 

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アブストラクト芸術とは、どうやら「目に見える世界をそのまま再現せず、自由な線や色・形・面・ボリュームによって構成した非具象的な絵画や彫刻のこと」らしいです。

ふむ?

 作品を見ながらどういうことか見てみましょう。

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こちら何が描かれているように見えますか?

こちらドットと半円を、円盤状に組み合わせることで睡蓮のお花のように描いたものです。

※意訳なので、厳密には「~のように」というのは表現として間違っているかもだけど。

 

でも睡蓮の花ってこんな風に人の目には見えませんよね?

クプカは睡蓮の花びらから鮮やかな色や、花びらの筋、もしかしたら朝露の粒など様々な要素を分解して、それを一個一個グラフィカルアートのように画面上に再構成したのです。

 

むつかしいですね。
もうちょっと分かり易く書くと、ちょっと違うかもだけどこんな感じ。

例えば、「今日朝起きてコーヒーを飲んだ。」の一文があるとします。
この中の要素「今日」「朝」「日差し」「起きる」「コーヒー」「飲む」「連続的な行動」を分解して、構成し直す

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こんなグラフィックができるわけです。製作時間3分。
なんかだるそうに起きた後、コーヒーの美味しさに感動して目が覚めた様子が、先ほどの文章以上に見て感じることができますよね?

このように要素を分解して描くことで、単に睡蓮の花を描くだけでは見られない要素をこの絵画作品の中から感じることができるのです。

 

 

 

③現代芸術のコーナーにある「芸術家とは “The Artist as….”」の説明書き

正直に書いてしまうと、鑑賞当日、現代芸術のコーナーで力尽きておりました。

作品についても流し見だったのですが、面白かったのが一点。

コーナーのところにこんな説明書きがあるのです。

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 ぶれとるがな。 

日本語がないのが残念ですが。

 

要は現代芸術において、芸術家は単に「美」を求める以外に、プロデューサー、アーカイビスト(収集家)、ナレーターなど様々な役割を持ち始めたということが書かれています。

 

現代社会において情報の動きが目まぐるしく、更に世界中のものがネット上でも流れては吐き出されていきますが、それらはジャーナリズムだけでは終わりません。

一人の芸術家が個人として、もしくは大衆の代表者として情報を受け入れ、それを文章や写真だけでなくアートとして還元していく時代になったということです。

 

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何故アートにするか。

それは情報をアートにすることで、人間の左脳だけでなく、右脳にも働きかけることで、個人の奥底に眠る感情や記憶を呼び覚ます、刺激しようというのです。

 

あと作品にすることで、半永久的に残るということも理由の一つにあると思います。

もちろん、文字や写真などでも記録は取れますし、それそのものが人々の記憶に残り語り継がれることもあります。
が、作品が美術館に所蔵されること、それが時代を超えた人々の感性に訴えること。

それこそが情報がアートに生まれ変わるべき理由だと考えられます。

 

まだまだ私自身、現代芸術には疎いですし、古き良き絵画作品に興奮して鼻血を出していますが、この説明書きで現代芸術をどう受け入れるべきかということを学ぶことができました。

是非皆様チェックしてみてください。

 

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ちょっと今回も真面目さんになってしまいましたが、実はまだまだパリの美術館で語り切れていないものがたくさんあります。

のでしばしお付き合いくださいませ。

 

それでは!

 

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