アラサーが出張中に話題のプラダ財団ミラノに行った話
こんにちは、ゆきびっちです。
お久しぶりです。
すみません、本業のほうで出張に行ったり、Windows10にアップグレードしてWIFIにつながらなくなったりして、更新にてこずっておりました。
さてさてタイトルの通り、9月の頭に出張でミラノとパリのほうに行っておりました。
そこで、これまで行ったことのある海外の美術館を何回かに渡って、皆さんが嫌になるくらいにおススメしていきたいと思います。
もし行く機会がありましたら参考までにご覧くださいませ。
ミラノ編
<プラダ財団 ミラノ Fondanzione Prada>
お名前の通り、イタリアのラグジュアリー・ブランド PRADAの財団によって今年2015年の5月にミラノにオープンしたアート施設です。
<なんか不安になる プラダ財団への道のり>
最寄り駅はドゥオーモやミラノ中央駅などのミラノ市内中心地より、地下鉄M3番線で一本、LODI T.I.B.B.という駅。
そこからてくてくと図のように10~15分くらい歩くのですが。
若干不安になるくらいに、微妙に遠い。
そしてまだ認知度が低いのか、お客さんもぽつりぽつりという状態だったために、施設まで人の流れというものが一切ない。
地図上、目印になるものもない。
途中、中国人の方が多く住まう地域なのか中国人向けのビザに関する窓口というかお店が連なっている。そして若干さびれている。
そんな不安要素たっぷりな景観なので、途中、同じく施設へ向かおうとしていた地元のイタリア人カップルに「プラダ財団はどこ?まだ歩くのか」って聞かれてしまうくらい。
私も初めてだから知らんがな。
というのも、プラダ財団の施設は元々1910年代に建てられた蒸留所を改築したものであり、ちょっと中心街から外れた、市内南部の倉庫・工場が立ち並ぶ地域にあります。
ということで観光客が行くような場所ではあまりなさそう。
やっとたどり着いたプラダ財団。
めっちゃ逆光ですが。この写真からも分かる通り、若干見た目が地味です。
ですが、わかりやすく蛍光灯で「FONDAZIONE PRADA」と書いてあるのでご安心を!
<新旧の建物が並ぶ プラダ財団のアート施設>
こちらは施設の全体の見取り図。
地面の要所にこういった地図があり、丸ボッチで現在地を示してくれます。
ちょうど私がいるのは入り口すぐのところ。
さてさきほど、こちらの施設は昔の蒸留所を改築したと書きましたが、ここは2015年9月現在でも未だ一部工事中。
というのも、この施設は元蒸留所だった7つの建物以外に、新たな3つの建造物が作られたアート施設になります。
入り口から右手に見える「NORD」、左手の「BIBLIOTECA」、その他「SUD」「HAUNTED HOUSE」「CISTERNA」などは既存の建物。
こちらはBIBLIOTECA(図書館)。中には入れませんでした。
外壁に歴史の滲みを感じます。
反対に「PODIUM」「CINEMA」、そして現在工事中の「TORRE」は新しい現代建築になります。
「TORRE」は塔という意味らしく、建設中のところを見るとかなり背の高い塔になりそうなので、来る途中迷子になった方への目印になってくれることを祈るばかり。
外壁が一面ガラス貼になっているCINEMA。
Instagramの良いネタになるような青空を映し出してくれます。
その名「CINEMA=映画館」のように、上映時間は決まっており、モダン・ダンスなどの映像作品を流しているようです。
さて何故このように新旧の建物を同じ空間に建てているのかというと、その理由はプラダ財団の掲げたコンセプトにあります。
つまりこのアート施設は、歴史的な建築を保存しつつ、現代アート・建築などの新たな創造を育む場所であり、新と旧、異なる二つを同じ空間で共存させ、対峙させることで永遠に二つが作用し合う場所にしたいという思いから作られました。
70年代、80年代と流行のサイクルはループしても、常に新しいコレクションを生み続けるファッション企業PRADAならではの考え方ですよね。
<洗練されすぎた館内 開けられないトイレの扉>
さていよいよ館内へ!
チケット売り場は地図でいうと、入り口からCINEMAを右手に見て左折し、BIGLIETTERIAというところにあります。
ここでチケットを買いますが、英語はちゃんと通じます。
ただ残念ながらオーディエンスガイドはないらしく、パンフレットも英語かイタリア語のみでした。日本語対応はありません。
チケットを買うと、二つのことが案内されます。
- ロッカーがチケット売り場の後ろ側の階段下にあり、そこで荷物を預けろということ。
- 永続展である「HAUNTED HOUSE」に入れる時間を示した札が渡されるので、その時間通りに行って鑑賞せよということ。
※どうやら、「HAUNTED HOUSE」は、狭い階段を上り下りする塔のような狭い展示空間のため、一回の鑑賞に20名しか入れられないとのこと。
さて、ロッカーに荷物を預けるのですが、
ナイキみたいなカラーリングの鉄格子?が目印。
お姉さんがぽつりといますので、「チャオ」と言って荷物を渡せば、荷物札を代わりにくれます。
そしてロッカーの先にトイレがあるのですが、
正直どうやって開けるのか分からなかった。
余りにもデザインや装飾をそぎ落としすぎると、こういう弊害が生まれます。
写真だと、「いやいや普通に分かるでしょ」とか思うでしょうが、
先ほどのロッカーの写真からわかるように地下階が薄暗がりな上に、全てこの格子状なので、トイレの扉がどこなのかさえも迷ってしまいます。
引くのか、押すのか、それともスライド式か?
ちっちゃな子供にパンツを履かせるデザインを考えるのならば「PRESS」か「PULL」の文字を入れてほしかった。
試しに押してみても、全て金属で重く、ちょっとの力ではビクともしない。
そもそも、もしかしたら、これは個室用トイレの扉で中から鍵を閉めているかもしれないという妄想まで膨らませると、ちょっと色々とムリができない。
ノックをしたら、金属のマス目にこぶしが刺さるという、まさに両刃の剣状態。
なんとか後ろの男子用トイレから男性が扉を引いて出てきたことを確認して(ここまでウェイティング時間10分ほど)、思いっきり押したらなんとか入れました。
ちなみに、写真が撮れなかったのですが、中の個室用扉もかなりトリッキーなデザインで、ここでも扉を開けるのに、イタリア人のおばあちゃんと「どうしよう」と言いながら試行錯誤しました。
脱線しました。
しかしこのトイレこそが、私の過ごしたプラダ財団でのハイライト・シーンです。
オシャンティーな空間を作るのも大事だけど、シンプルな中に利便性をちゃんと取り入れるのが本当のデザインだと思うのよ!!!
トイレからは以上です。
<現代アート作品のグロテスクさ>
作品に対して、全体的に感想を述べるのであれば「グロテスク」の一言。
個人的に、現代アートでちょっと苦手な点が、あまりにもリアルに感受できるものであること。
なんというか古典芸術でも同じように「戦争」や「性」、「生死」、「社会」などをテーマとして取り上げているものもありますが、現代アートにおけるそれら表現は古典芸術とはちと違うように思うんです。
見ていて何が辛いか、もしくは面白いかというと、芸術家が発現したものは19世紀以前の作品とは異なって、享受する私たちにとって、身近に感じることができるものであるということなんです。
例えばこちら。
SUDの展示室で展示されていたものの一つ。
これは、昔の機械が組み合わさっているインスタントレーションものですが。
実はこちらの機械は、ナチス時代のドイツで日常的に使用されていた電気用品なんです。
そして手前の白いペダルを踏み込みと、中から当時ラジオで流れていたとされる歌が昔の音響のまま流れます。
ただ、その歌というのはその当時、ヒトラーがヨーロッパの伝統的な美術・芸術を非とし、ドイツ民族による芸術を是としたときの歌。
人の捉え方は様々ですが、私にとってその歌は、史実でしか知らない当時のナチスの様子を生々しく再現したもので、
当時のものをつぎはぎにしてそれに声を持たせたこの作品は、フランケンシュタインのような、つぎはぎのモンスターかゾンビのように感じられました。
そしてこれを身近に感じられてしまうのは、ナチスがどうこうというよりは、つぎはぎの機械が「全く見たこともない機械」というわけではないから。
もう少し時代が後になったら、こういう感覚もなくなるのでしょうが、まだ昭和生まれで、大正・明治生まれの方々が祖父母の私には昔の機械は身近に感じられてしまうのです。
あとは問題作のこちら。
ダミアン・ハースト<LOST LOVE>2000年
期間限定の企画展ですがこちら、濾過装置付きのキューブの中に、何やら手術室の一角が組み込まれ、その中にわんさか熱帯魚がいます。
カラフルな熱帯魚が水中を泳いでいるために一見キレイな空間ですが、治療台の横には手術道具が散乱しています。
実はこれ、堕胎用の手術器具です。
何も知らずに、この記事を書くまでずっと、「歯医者さんの現場」だと思っていた私がピースフルすぎる。
おかげでこんなにもいっぱい写真を撮ってしまったよ。
その手術場所であること。
患者も医者も誰も、誰もいない空間に、そして持ち主がいるはずのモノに、根城を作る色とりどりの魚たち。
私が女であり、その器官をもっていることへの認識を改めて働かせること。
どの部分を取り上げてもグロテスク。ぐぅ。
ちなみにですが、これらの作品は全てイタリア語と英語で作品名、作家名が記されていますが、解説が書いてありません。
且つ、先ほど書いたように、日本語のパンフレットやオーディオガイドもないため、鑑賞するにはかなりのハードモードです!
ですが、各セクションにいる監視員の方々がフレンドリーに話しかけてくれ、英語ではありますが作品を紹介したりしてくれます。
作品を見て私みたいに妄想を膨らませるのもよし!ちょっとした英会話レッスンにするのもよし!です。
<映画監督によるオシャレカフェとまずいケーキ>
さて作品のグロテスクさに当てられてしまいましたが、歩き疲れた身体を休めるべく、最後の鑑賞スポットのカフェに向かいます。
こちらは、映画「グランド・ブダペスト・ホテル」や「ダージリン急行」の監督で知られるウェス・アンダーソンによるデザインのカフェ。
1950年代の古き良きミラノのカフェの雰囲気を再現しているらしく、バーカウンターや席にも細かな工夫が凝らされていて、可愛らしい!!
ピンボールなどの遊具もあって、それで遊ぶミラノ人の男の子たちの麗しい姿を見て癒されておりました。
しかし、一つ気を付けて頂きたいのが、この見た目、ポップでキュートなケーキ。
アメリカのケーキのように砂糖じゃりじゃりなことを期待して、使った脳味噌に糖分を送り込むべく注文をしたのですが。
まずい。
プラリネ?のクリームが入っているのですが、香料が過ぎているのか、なんというかまずい。
あれ、これは日本人的な味覚の違いかな?と思ったら、前の席の欧米人のお姉さんもがっつり残していたので、このまずさは世界共通かと思われます。
1000円近くもしたので勉強代として飲みこみ、完食しようとしたのですが、3口目で心を折ってくるどうしようもないまずさよ。
ここで頂くのは別のもののほうが良いようです。
結局おススメしているのかしていないのか分からない内容になってしまいましたが、個人的にはお化け屋敷みたいに「うげー」とか言いながら楽しむことができました笑
ということで、現代アートがお好きな方にはおススメです。
あ、あとご家族で来られる方は思春期のお子さんとご一緒されないほうが良いと思われます。
それくらい顕著な性の表現もありますので。。。
まだまだ様々なところが建設中で、これからどのような企画展が出てくるのか楽しみなプラダ財団。
ただ、一日コースで楽しめるかも!という煽り文句がいくつかのキュレーションサイトには出ておりましたが、まだ色々と工事中のため、正直2時間あれば事足ります。
ので、おすすめは5時くらいから来て、地下鉄M3番線の一つ手前の駅「PORTA ROMANA」にスパ「QC TERMEMILANO」もありますのでそこでリラックスして一日をフィニートするのもよろしいかと思われます。
スパについてはまた別途のブログ等でご紹介しますね。
それではチャオ♪
★現在お仕事募集中 アート関連(それ以外でも可)の記事作成などお待ちしております★
お問い合わせ先:yukivicher@gmail.com まで御願い致します。