アラサーOLがアートでアレコレやってみるブログ

ブログ名変更しました(再)。アート初心者大歓迎! アートの面白さをナナメ上の視点から追求していくブログになります。

貧乏アラサーが画廊で絵画を買う夢を見て現実逃避した話

 こんばんは、ゆきびっちです。

久しぶりの更新となります。

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久しぶりに女の子らしく撮れた写真。ご満悦です。

 

今回から何回かは、はてなブログの月毎の画像保存データ量の都合上テキスト多めのだらだらブログになりますのでご理解ご了承願います。

と思ってたら、今日で6月が終わるのでこの言い訳が使えなくなってしまいました。まじでさぼりすぎた。

 

さて、この前久しぶりに画廊にお邪魔しました。

美術画廊・美術ギャラリー|渋谷・本店|東急百貨店 TOKYU DEPARTMENT STORE

東京 渋谷の東急百貨店本店の8階にある美術画廊・美術ギャラリー。

 

単に「あ、画廊があるー」と思ってふらりと立ち寄ったのですが、いつも行く美術展とは違う、とあることにびっくりしました。

 

作品に値段がついてる!!

 

そう、美術展とは違って、画廊は販売目的で作品が展示されているため、作品の値段が可視化されているのは当たり前なんですよね。

とはいえ、いつものほほんと見ていただけの美術作品を「買うの?買わないの?」というお金の匂いが漂う空間の中で鑑賞するのは、美術展で鑑賞するのとはまた違った緊張感がありました。

 

まぁ、もちろん画廊の方もプロであり、明らかにお金も地位も名誉も持っていない小娘に対して何の興味も抱いてくれないわけで、私が感じた緊張感も甚だ勘違いなんですけどね。

 

そんな逆境にもくじけずにリアルな購買者の目線で今回お邪魔した画廊の作品を見てみたのですが、メインに掲げられていた作家さん・今井幸子さんの作品に目を奪われてしまいました。

 

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 ≪オレンジの背景の婦人≫

ただこの方ネットで調べてもなかなか出てこず。
画廊等でご紹介されていた略歴を抜粋します。

 

今井幸子

1933年大阪で生まれた方で、洋画家・田村孝之介に師事。

1971年にフランスへ渡り、パリのアカデミー・グランドショミエールおよび、エコール・ド・ギャルソンに学ぶ。サロン・ドートンヌに入選以来、毎回出品をつづける一方、サロン・アルティトス・フランセ銅賞をはじめ多くの権威あるし賞を獲得。サロン・アンデパンダン会員に選ばれる。

 

カタカナ多すぎ。 

わたしたちにはフランスの絵画学校や賞の名前とか馴染みがなさすぎて、今井幸子さんが凄いのか凄くないのか一目で分からないかと思いますが。

実は凄いんです。

 

正直この略歴を見て、私も「おおっ」となってしまいました。

 

注目したのは略歴に出てきた「サロン・ドートンヌ」という言葉。

サロン・ドートンヌは20世紀初頭にフランスで出来た美術展覧会なのですが、当時ピカソマティスセザンヌモディリアーニなどが参加しており、今では世界で活躍する美術作家たちが挑戦する実力派の展覧会となっています。

そこで世界の人たちと肩を並べるだけでなく、更には賞を取れるのはすごい。もう御年80歳近くですが、まだ現役で制作活動に打ち込まれているようですよ。

 

そんな今井幸子先生の作品はこちら。

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≪花束の二人≫

先ほどの作品とこの作品は画廊にあったものではなく、ネットから拾ってきたものです。

 

主に女性と、お花を作品のメインモチーフにしています。

背景もかなり簡素。

女性や花瓶などはしっかり輪郭から描いているのに対して、お花自体はキャンバス上に直接絵の具を乗せて、そこで色を混ぜ合わせるように描くことでお花の儚さや繊細さを表現しているように見えます。

輪郭は強く描かれている女性ですが、その肌には透明感があり、香り立つような淡い色使いとつんとした表情が女性特有の色気と愛らしさを醸し出しています。

本当にかわいい。ずっと眺めていたい。なんなら匂いを嗅ぎたい。

 

作品のメインのモチーフがでーんと画面のど真ん中にある、かなり大胆な構図で描かれているのですが、画面の中ではそのモチーフを際立たせるヴィヴィッドな色使いに目を奪われてしまいます。

 

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≪幸せの予感≫

PCやスマホのディスプレイからだとそれが伝わりにくいかと思いますが、蛍光色に近い黄色い絵具がこの作品の背景とお花に使われています。

お花と背景に人工的な蛍光色を使うことで、現実にはありえない世界を画面の中に創りだしているように感じられます。

そうすることでそこに佇む女性がまるで、非現実的なおとぎ話や夢の中で見たような「儚い美女」としてわたしたちの目に映し出されるのです。

 

いやーこれは欲しい。この消えちゃいそうな美女を手に入れたい!!

なんでしょう。

もしかしたら頑張れば自分の手に入るかもしれないという薄い期待が、更にその絵画を魅力的に感じさせるというか。

かなりリアルに自分の家のどこに飾るかを妄想しながら、鑑賞していました。

 

さて、気になるお値段ですが。

 

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今井幸子≪リボンの女≫

画像は小さいですが、実際は8号キャンバスなので横幅45.5cmで結構大きい。

 

そのお値段 864,000円

 

 

たけぇ!!

 

この値段は貧乏アラサーにはがんばれないよ!!!

 

ネットで見てみるとこの方の作品はリトグラフで10万円そこそこだったのですが、この画廊に置いてあった作品はリトグラフの元になった原画だったのかしら??

リトグラフ:ざっくりいうと版画の精巧版。画家が筆で描いた筆跡なども再現しちゃう素晴らしい版画になります。

 

画廊の中には120万もする作品もありました。もう一回言おう。たけぇ。

 

 

しゅんとしてしまったのですが、その後にふつふつと湧き上がるやりきれなさ。

作家さんが凄いのは分かるけど、一体どんな仕組みで値段がつけられているんだろうと。

 

参考にさせて頂いた記事はこちら。

www.tagboat.com

 

上に貼ったリンクの一部をまとめるとこんな感じ。

 

作家の元で美術作品ができると、作家は契約している画廊に商品を預けられます。

作品は画廊の取り分+作家の取り分が合わさった価格が設定されて画廊にて販売されますが、これが、初めて市場に作品が出回る際につけられる値段=プライマリー・プライスとのこと。

 

なので、私が見た今井幸子さんの作品はプライマリー・プライスである可能性は高い・・・。

原画だとこれが基本価格かー  さすがサロン・ドートンヌ受賞者様。

調べてみると、やはり受賞歴のある方はそれだけ知名度も高いため値段があがるようです。

 

ただその値段のつけ方自体も、新人作家さんならば作品製作費などコストベースで値段を決めることはできるけれど、有名な画家ほどどのように値段がつけられるのかが疑問。

 

そこで出てくるのが、セカンダリー・プライス。

よく私たちでも耳にするような「サザビーズピカソの作品が何億円という値段がついた!」というニュースでいう値段になります。

 

参考にさせて頂いた記事はこちら。

アートとの付き合い方 ギャラリスト小山登美夫|現代アート販売(通販)のタグボート

 

奈良美智さんの作品の例が分かり易かったので、まとめると以下のようになります。

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最初奈良さんの作品を画廊で販売したときのプライマリー・プライスは1作品4万円。

しかし有名になるにつれ作品の需要が増えると、一度画廊で売れた作品が再度オークションや展覧会に出され、プライマリー・プライス以上の値段がつけられ落札されていきます。

奈良美智さんの具体例でいうと、2003年A4サイズの作品を最初65万円で画廊にて販売されたが、翌年のオークションでは同じサイズの作品が360万ほどで落札されたという。6倍近く・・・)

 

買い手は他の画廊、美術館、個人、アートディーラーなど様々ですが、作品の完成度、作家の著名度など分析した上で各々値段をつけていくため、
最終落札価格はその作家、作品のそのときの一番客観的な価値を示していることとなります。

そうなるとその最終落札価格が、その作家さんの次の作品のプライマリー・プライスを決める一つの判断基準となるわけです。

 

ですが、この記事にも書いてあったように、作家に入るお金であるプライマリー・プライスとセカンダリー・プライスの値段の激しい落差は問題視されているようですが、
その落差こそ互いに利があるようにも、リスクを互いに持つようにも見受けられ、簡単には解決しなさそうですよね。

まぁムツカシイ話とかお金にまつわるエトセトラとか、考えれば考えるほどわたしのバカ脳が死にそうになるんでもうこころへんでやめておきます!!

 

ああ でもこの今井幸子さんの作品は欲しい・・・

そしておそらく数字のトリックにはまっています。

この作品が10万で売りに出されていたらそこまでこの絵に価値を見出さないんだろうと思います。

この86万円って高いけれども手が届かなそうで届きそうな微妙な額ってところがミソ。

海外旅行3回くらい我慢すれば買えるかもしれない。

そんな額と対価になりうる作品なんだ、そしてそれを資産として自分でも持てるかもしれないんだという白昼夢みたいな幻想に駆られてしまいます。

 

まぁお酒飲んで一回寝たら、その86万で1年間家賃払わなきゃいけなかったんだと現実に戻ってしまうんですがね。

 

それでも画廊でも買い物妄想は楽しかったです。

ぜひ一度画廊で大富豪ごっこをしてみてくださいね。

それでは。