パズルのはじまり
なんで?と聞かれればいくつかの適当な答えは持ち合わせてはいるけれども、
絵画をはじめとする美術作品に対する強い憧れは幼いころから抱いていたのは確か。
でもしっかりと形として自分からアウトプットできたのは大学の進路を決めるとき。
それまでも今だってそうかもしれないが、将来なんて漠然としか考えていなくて担任を困らせた。
それまでは、美術作品なんて恐れ多いものを鑑賞するよりは、自分で作り出すほうに熱中していたのだ。
幼いころ、父親が持っていた何色ものSTABILLONのペンを握りしめれば何でも描ける気がした。一番の遊び道具でもあった。それが私の原点。
父と兄と三人で大きなボードにすごろくを描き、父が家族を題材にマスの内容を決め、私たちは自由に描いていった。
それが今どこにあるか分からないが、他の家族が集まるたびにそれで遊び、自分たちの作ったボードゲームを誇らしげに掲げていた。
幼い私も自分の描いたお姫様たちがいつまでも可愛く映り、
兄の描いたウルトラマンや悟空は格好よく感じ、
父の描くものはどれも素晴らしく思え、彼のように描きたいと嫉妬し、
「なんかかいて」とお願いしていた。
たまに父が今でも自慢げに見せてくる水彩画や油絵も私は本当に好きだ。母は迷惑顔だが。
そんな父の血を色濃く受け継いでいるからこそ私はそういったものに興味をもっていたのだろう。
最初に出会ったのは絵画。
だからこそ今でも巨匠たちの筆遣いに息を呑む。
次に出会ったのは建築。
心の原風景はドイツ。残念なことに日本ではないため、20年以上放置しっぱなしになっている。
アウトバーンで郊外まで抜ければ、穏やかな田園風景と恐怖すら感じる深い森林、山々が見えてきて
そんな中に突然ぽつんと現れる中世時代の城や教会。
朝鳴り響く鐘の音で容赦なく起こされ、子供の運動靴でさえも痛いと感じた石畳、白い壁に格子状に張られた黒い木板がコントラストとなった商店街。
もちろん私の住んでいたところではなく、あくまでも観光で行った土地の風景だけれども
そういった風景は空気は今でも心の中に残っている。
こういった背景の中、私の体内に徐々に「鑑賞すべきもの」というカテゴリーができていき、それを少しずつではあるがライフワークとしていきたいと思い始めた。
そんなわけで特別な知識もあまりないけれども、少しずつではあるが自分の行って見てきたもののログを上げていきたいと思う。
あくまでも個人的なものなので、権威ある方々の御意見とは異なったりしておりますがエンターテイメントくらいな感じで読んでもらえたらと思います。